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【資格独学ノート】日商簿記1級 退職給付引当金・退職給付費用の基本的な計算式(退職給付に関する会計基準 )

 この前の第157回 日商簿記1級の結果を受け、次回に向けて勉強しなおすことにした。

 一番酷かったのは仕入・売上だったが、あれは売上高に気づけば解けたとしておき、見直しはそれ以外から。

 さしあたり、ちゃんと覚えれば一番点を回収しやすそうな『退職給付引当金』『退職給付費用』から復習しよう。 

※本記事は“独学ノート”であり、厳密さや正確さはありません。

 私自身が分かりやすいように噛み砕いただけなので、本記事の内容はあくまでイメージです。

 本記事の情報を利用することで発生したトラブルや損失、損害に対して、一切責任を負いません。

 

【期首退職給付引当金の計算方法】

 退職給付引当金は基本的に以下のように計算できる。

 ①退職給付引当金=退職給付債務-年金資産±未認識数理計算上の差異±未認識過去勤務費用

 よって、期首退職給付引当金については、計算式内のそれぞれに期首の値を代入すればいい。

 また、他の値を求めたい場合にも、式変形によって対応可能。

 

 例えば、第157回においては、各自推定となっているのが未認識数理計算上の差異の一部。

 ここでは便宜上、期待運用収益額を上回ったことで発生した判明分を有利差異、残りを不利差異と呼ぶ。

 すると、以下のとおり式変形できる(未認識過去勤務費用は今回なかったので省略)。

 ①´未認識数理計算上の差異(不利差異)=

   退職給付債務-年金資産+未認識数理計算上の差異(有利差異)-退職給付引当金

 

 ここで、試験のときに計算する際の注意点が2つ。

 1つ目は、決算整理前残高試算表の退職給付引当金について、期首の値かどうか確認すること。

 第157回のように、変動していないことが問題文で明記されていればそのままでいい。

 もし、掛金拠出額が処理されている等、期中に変動しているなら、それを逆算する必要がある。

 2つ目は、未認識数理計算上の差異についての足し引き。

 ①において、有利差異は+で計算することになるのだが、ここが理解できていなかった。

 また、足し引きする額自体も、発生分そのままではなく当期までの償却分を考慮する必要がある。

 このあたり、別の記事で改めて整理する。

 

【期末退職給付引当金の計算方法】

 期末においても、計算式自体は①のとおりでよい。

 計算式で使うそれぞれの値について、当期の状況をもとに、期首の値を以下のとおり増減させていく。

 ②期末退職給付債務=期首退職給付債務+当期利息費用+当期勤務費用

 ③期末年金資金=期首年金資金+当期期待運用収益+当期掛金拠出額

 ④期末未認識数理計算上の差異=期首未認識数理計算上の差異-当期償却額

 また、企業年金からの退職金支給額が与えられることがあるが、退職給付引当金の計算には関係しない。

 ここも自分がよく分かっていなかったので、別の記事で改めて整理する。

 

【退職給付費用の計算方法】

 退職給付費用は、仕訳の観点から、期首から期末にかけての退職給付引当金増額分と考えると分かりやすい。

 ただ、単純な増額分とはならず、③の中の当期掛金拠出額を除く必要がある。

 

 掛金拠出額とは、何らかの資産から年金基金に拠出したもの。

 例えば、現金で掛金を支払ったなら、現金(資産)が年金資産に変わっただけで、あくまで費用ではない。

 ただ、勘定科目として年金資産はなく、退職給付引当金(負債)の減額分としてしか現れてこない。

 よって、①の計算式より、直接退職給付引当金から減額(負債の取消)することで、年金資産の増額を表す。

 第157回の仮払金の仕訳がこれに該当し、仮払金(資産)は退職給付引当金の減額(負債の減少)となる。

  

 最終的に、退職給付費用の計算式は以下のとおり。

 ⑤退職給付費用=

   当期利息費用+当期勤務費用-当期期待運用収益-有利差異の当期償却額+不利差異の当期償却額

 とりあえず、試験で点数を取るならここぐらいまでか。

 あとは、未認識数理計算上の差異と企業年金からの退職金の扱いを、別の記事でまとめていこう。

 

(2021年3月26日追記)

 未認識数理計算上の差異について、記事を作成したので、ここに追加しておく。

 

nameless-bookshelf.hatenablog.com